ヤングケアラーにおける”口腔崩壊”問題
いま”ヤングケアラー”という社会問題は大きく取り立たされている。
ヤングケアラーとは、本来 親や周りの大人がやるべき家事や家族のお世話などを日常的に行わなくては行けなくなっている子どもたちのことだ。
ヤングケアラーの中には不規則な食生活や歯科を受診できないなどの問題を抱えた子どもも多くいるため、歯科業界でも行政や支援機関と連携した支援の模索を開始している。
そこで今回は読売新聞オンラインの記事【ヤングケアラーに「口腔崩壊」の問題…歯科医の受診控えなど背景、子どもの健康格差広がる】について解説していく。
近年 口腔崩壊を起こしている子どもが増加している
重度の虫歯が10本以上ある口腔崩壊を起こしている子どもの報告が増えてきている。
その背景には経済的な困窮による不規則な食生活や、歯科医の受診控えなどがあるとみられるという。もちろんその中にはヤングケアラーの子どもたちも含まれているだろう。
一方で虫歯のある子どもの数は減少傾向にあり、子どもの口腔環境において二極化が進んでいると考える。
記事によると、全国保険医団体連合会の2020年の調査では学校健診で歯科への受診が必要と診断されたにも関わらず未受診だった児童生徒は62.3%に上るとされている。
さらにヤングケアラーの子どもたちの場合には自分自身まの食生活や口腔ケアまでできないのではないかと記載されている。
ヤングケアラーの実態が把握できない…
とはいえ、ヤングケアラーの子どもたちは自ら歯科医を受診することがほとんどなく、実態がわからないのが現状。
そこで県歯科保険医協会(福岡市)では、行政や教育・福祉などの関係機関と連携し、ヤングケアラーへの家庭訪問などの支援ができないかなどの検討を進めているという。
さらに自治体によって制度が異なる18歳までの医科歯科医療費無償化も国に制度化を求めていく方針だ。
最後に…
ヤングケアラーの問題はかなりデリケートでありながらも、歯科医療と携わる側としても多くの子どもたちを慎重かつ早急に救うためにも一歩踏み込んだ対応や支援を求めていかなくてはいけないのではないだろうか。
まずはヤングケアラーの問題を社会問題として捉えるのではなく、普段の臨床から身近な問題として捉え、子どもたちの口腔内を徹底的に観察していくことからはじめていくと良いのではないだろうか。
